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Thinking Time

時間のジレンマ

ありがたくも怒涛の3、4月を迎えておりました。
こちらの投稿はちょっと期間が空きましたね〜。

札幌で初のシェア型書店ぷらっとBOOKさんの
棚オーナーになったことで元々少なくなかった読書量が軽く倍冊になり、
ご多忙そうな職種の生徒さんからついに、
「先生っていつ寝てるの?」と聞かれてしまいました。笑
それでいてロングスリーパーなのですよね、わたし。
棚に置いて売っている本についてはnoteで紹介しておりますので、
どうぞ覗いてやってください。
みゅじぶくnote

さて今回は時間について。
時間って不思議ですよね、時間こそ等しく平等に与えられているのに、
ある人にとっては足りず、
ある人にとっては有り余っていて、
ある人にとっては追われていて
ある人にとっては安心にもなる。

生きていると「何をいつまでに」という締切は多少あると思いますが
(もし感じてないなら、めちゃくちゃ幸運なことだと思いますが、
あなたの周りは結構大変なんじゃないかな?とも思います。周りに人がいないなら・・・まぁ・・・笑)

スピードをとるか質をとるかというのは度々考えさせられます。

生徒さんの中で救急救命にお勤めの方がいらっしゃって、
人の生死の1分1秒を争うときに、
1秒をとってひとまず死を防ぐのか、
1分をとって生還後の後遺症までを考慮するのか、
これがまた病院の方針によって違うようなのです。
(もちろん患者の状態や年齢などありますが)

わたしはそれを聞いた時にもし自分がそんな状態なら、
ぜひとも後者をとって欲しいなと思ったのです。
前者でももちろん命は助かっているわけですから、感謝すべきことですが、
もし1秒の判断遅れで絶える命なのだとしたら、
もうそれが運命なのかなとも思うわけです。

ただそれが自分ではなく愛する誰かだったらどうでしょう。
なんでもいいからとにかく1秒でも早く、
助けてほしいと思う人が多いのではないでしょうか。

「ジレンマ」ですね。

ジレンマが目の前に現れると
「どちらかに決めなければならない」と人は考えるようになります。
そして事実どちらかに決めたら行動するべき方向が定まり、
一時、楽にはなります。

でもそもそも相反する意見(感情)で身動きが取れないわけですから、
一方に決めたところで再びジレンマに陥る瞬間が
人生には何度だってやってきます。
そして時には「あのときそっちを選べばよかったのに!」と
後悔するようなこともあるでしょう。
上記のような医療現場でそんなことを口にしようものなら、
大変な問題発言にもなりかねません。

ジレンマに直面したときには、
一体何に挟まれて身動きが取れなくなっているのか、という分析が必要だと思います。
もしかしたらその2つ以外にも道があるかもしれないからです。

医療職の生徒さんは多くいらっしゃって、
日々、死に向かい合っている方が多いです。
「だって(自分がやらなきゃ)死んじゃう!」といった
もうその方の心の限界のサインをレッスンの中で感じることがあります。
ジレンマだな、と思います。

患者さんの命をかけて日々判断と決断を求められている人に、
「音楽」という抜け道がせめて示せたらいいなと思うのです。

先日「先生のレッスンは本当の意味の治療ですね」と現役医師の生徒さんに言われました。

思わぬ言葉に、
わたしの今までの音楽技術を得るためにかけてきた膨大な時間と、
それにしてはほとんどが収入につながらない仕事としては不安定な業界、
わたしの「ジレンマ」にも抜け道が見えたような思いです。



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