Thinking Time
解決する
演奏メンタルサポーターの学びや日々のボイストレーニングレッスンの指導をする中で、音楽をするということ以外にも生き方そのもののご相談を受けることが多くなってきました。
もちろん、誰かに何かを相談するということは
その人自身に悩みや課題があって、
それを他人に話すことで解決へのヒントを得たり、
間違っていたら正してもらおうという期待が誰しもにあると思います。
ただ、一度「本当に自分はこれを解決したいのか」
ということを考えていただけると
他人に相談することはもっと飛躍的に効果的な方法になると思います。
もしかしたらここまで読んで、
「悩んでるんだから解決したいに決まっているよ!!」
と思われるかもしれません。
しかし、それは「本当」ですか?
わたしは数年、人の相談に乗ってきて「特に、今今解決したいわけじゃなかった」ということがよくありました。
そもそも悩んでいることそれ自体の原因を勘違いしていたというのは本当によくあります。
解決を望んでいない事柄にはもちろん解決策がありません。一般常識とか、慣例では、とかなら答えはあるかもしれませんが、策ではありませんね)
しかし、解決を心から望んでいる場合のみなさんの相談事は100%解決します。ご自身にとって事態が好転していかれるので相談後とっても良い経過報告が必ずあるんです。
逆に解決したいと口ではいってても実は解決したくない方(解決しないでいる、を選んでいる状態)の場合、経過報告はなく延々と相談が続くのです。
相談内容はその度に人や物の名前は変わっていますが、自分で解決する気もないから相談することから逃れられません、「誰かに相談しないといけない」という状態。
ずーっと「相談する」という行動しかとらない。
ボイストレーナーをやっていても思っていることですが
わたしの元で長くレッスンを続けてくれる、というのはとても嬉しいことです。わたしが絶えず変化し、飽きのこないレッスンを提供できている証拠でもあるし、
長く通ってくださり関係が密になり、生徒さんの人生観をお話し聞けることは一人の人間としてとても幸福と思います。
しかし自分の声という楽器の操縦者は自分自身です。
自分でコントロールできるのであれば、他人の元で長々トレーニングしなくても良いのです。
ある程度から先は自分で続けていけば良いことなのです。
レッスンというのは大抵の人はこういうところでつまずきやすいからこういうアプローチをとると解決しやすいですよ、という先人の学びの共有です。
自分一人の人生で0からあれこれ全てのトライアンドエラーをしていたら人の一生なんて時間はあっという間に終わってしまうので、自己実現を効率的にするためのひとつの手っ取り早い「手法」や「経験則」にすぎません。
カウンセリングもそうです。たった一人の「あなた」の人生ではありますが、社会で生きてればある程度同じような状況、環境、感情に他人も経験があるものです。身近にいなくても人間の歴史の中に相当数な人がいるでしょう。
そんなときにどう考えたら、どう行動したら、こうなったああなった、ということを共有するに過ぎません。
その上で、どう考えてどう行動するかはあなただけの「自由」です。
いつでも、それをするか、しないかの選択なんです。
トレーナーとしてもカウンセラーとしても、
誰が何をしないでも構わないし、
何かをするというならその具体的近道をわたしなりにお伝えするだけなのです。
もし誰かに相談するときに、
Q するかしないかを決めてほしい、
Q した方がいいですか?
Q しない方がいいですか?
これらの質問をしていらっしゃるとすれば、それは何の意味がないことはもうお分かりかと思います。
解決したくないんだなぁ、って自分で認識すれば他人の時間を奪ってまで、
または自分のお金を失ってまで相談することは何もないと思いますよ。
とここまで読んだ上でも、
話してみたい!!!
となればそれはきっと心底解決したいことがあるんじゃないでしょうか。
わたしでよければいつでもお話聞きますよ。
ところで音楽の用語の中に「解決する」という言葉があります。
不安定な響きから安定した響きへと移行する動きを指し、音楽に緊張と緩和をもたらし、楽曲にドラマチックな展開を生み出す重要な要素を「解決する」「解決に向かう」といいます。
この解決を時には先伸ばすことでも展開を引き延ばしてどうなるんだろうという期待値を上げることもできますし、
解決しないことでそこにたゆたうようにループする「秩序」をもたらしたり。
どちらでもよいのです。
あなたがどうしたいか、だけが目の前にあるだけです。
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